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ChatGPTによる相続相談のメリットと限界
みなさんは昨今、急速に話題に登りだした「ChatGPT」をご存じでしょうか?
ChatGPTとは、OpenAI社が開発したチャットボット(高性能対話AI)であり、最大の特徴は会話形式でやり取りできることです。しかも単に質問に答えるだけではなく、質問に含まれる誤りを指摘したり適切ではない質問自体の回答を拒否したりという、より自然なやり取りが可能となっています。
すでにChatGPTを活用した新事業も多くみられるなか、今回はChatGPTに相続関連の相談ができるかどうか、実際に試してみました。
まずは相続の総論について質問してみる
今回は、父親を亡くし相続手続きが発生した方からの質問を想定して、ChatGPTに相談しました。
おお……! 思っていたよりも、本格的な回答をもらえました。
回答内容としては「まずは遺言書の有無を調べる」「次に財産について調査する」とのことなので、続いて遺言書関連の回答について深掘りしてみます。
遺言書関連の回答について深掘りしてみる
質問者としては、最初のアクションになるであろう「遺言書の有無を調べる」の具体的な方法が気になると思うので、追加で質問してみます。
この質問の回答を見て、相続関連の知識がある方は少し不穏な空気を感じたかもしれません。
パッと見は箇条書きで丁寧かつ網羅的な手順の提案に見えますが、実務的には一般的とされている公証役場での遺言検索システムや、2019年に開始された自筆証書遺言の法務局保管の可能性については言及されていません。
今回の記事では、ChataGPTへの質問は以上にして、今回のやりとりで得た印象をまとめます。
ChatGPTを相続相談に活用するメリット
「ChatGPTを相続相談に活用する場合、一般知識や総論だけでなく、自分の状況にカスタマイズされた情報を探索しやすいのではないか」というのが第一印象です。
相続の手続きは理解するのがなかなか難しいとされているのですが、難しい要因としては手続きの種類が多岐に渡ることと、その方の状況によって必要な手続きが変わることが挙げられます。
書籍やウェブ検索を通じて情報を得ることもできますが、そこで得られる情報はあくまで一般論で、必ずしも自分の状況にカスタマイズされていないという欠点もあります。
一方で、専門家に相談をした場合は、自分の状況を専門家に伝えることで、自分の状況にカスタマイズされた情報を伝えてもらうことができます。
今回、ChatGPTで相続相談をした感想としては、「検索」と「専門家に相談する」の間くらいの感覚でした。
ChatGPTを相続相談に活用する場合の懸念点・注意点
一般的にウェブ検索をする場合と同様に「本当に正しい情報なのか」という点に注意が必要なのはもちろんのこと、相続手続きについては特に「最新の情報なのか」という点にも注意が必要だと思いました。
相続領域は近年で法改正が進んでいて、それに伴い必要な手続きや留意すべきポイントも変化してきています。
しかし、ChataGPTの回答の元となる情報は過去にインターネット上に存在した情報であること、さらに事実かどうかよりも単語の出現頻度や相互関係を考慮して文章を作成するケースもあることから、利用には注意が必要です。
特に相続手続きについては、一度間違った手続きをしてしまうと損をしたり余計な手間がかかったり、場合によっては取返しのつかないことになる事象のひとつなので、ChatGPTの回答だけに基づいて手続きを行うことはかなりリスクがあると感じます。
ChataGPTと相続領域の相性ってどうなの?
自分の状況にカスタマイズされた情報が必要となる相続手続きにおいては、相性がかなり良いと感じました。
現時点では誤った情報や最新ではない情報に基づいた回答が散見されますが、基となる情報を最新の法律だけに限定したり、正しい相続手続きを専門家側がインプットすることで、どんどん回答の正確性も上がっていくと思います。
すでに質問への回答の「自然さ」は抜群なので、相続手続きにおける相談内容の深掘り(専門家やサービス事業者からすると、顧客情報の収集)などでは割とすぐに一般に実用化されるのではないかと思いますし、すでに活用を開始している事業者もいらっしゃいますね。
相続領域に限らず、ChatGPT含め最新技術の活用や棲み分けが今後はより重要になってくると思います。私自身もイチ人間として、またイチ専門家として、自分が発揮できる価値は何なんだろうと考えさせられる機会になりました。
ちなみに、この記事のタイトルもChatGPTに考えてもらいました。果たして、適したタイトルになっているでしょうか?