人生をよりよく生きる ライフ&エンディングメディア

Features

Back
  • 遺言書

作るのって結構大変?「遺言書」を作ってみた人の話。

最近、生まれてはじめての「遺言書」を作ったという内田さん(29歳)。作成に至ったきっかけや、作成の手間、さらには遺言書を作って感じた心境の変化などについて、ご本人にお話を伺いました。

ーー「遺言書」というと、年配の方が作成されるイメージを持つ人も多いと思います。20代のいま、遺言書を作るに至った背景を教えてください。

いくつかの出来事が重なって、遺言書を作ることに決めました。

いきなり私事ですが、実は先日結婚したんです。結婚という大きなライフイベントが発生したことで、最近は自分の資産形成を見直したり、いざというとき妻に資産を残せるように生命保険に加入したりと、ライフプランを練り直していました。

また、仕事の関係でファイナンシャルプランナーの資格の勉強をしていまして、相続についても資格取得試験の範囲に含まれるんですね。勉強するなかで、自分が亡くなったときに何も手当てがされていないと、自分の財産は妻に100%渡らずに一部の財産は両親や姉に相続されてしまう、ということを知りました。
両親や姉に財産を絶対に渡したくない、という訳ではないのですが、自分が亡くなっていちばん困るのは妻だと思います。
妻に100%の資産を渡すためには遺言書の作成が必要なので、いつかは遺言書を作らなきゃなと考えていました。ただ、今はまだ若いし大きな病気もしていないし、もう少し年を取ったら作ろうとも思っていました。

そんなある日、自分にとって衝撃的なことが起きて……。
会社の同僚がバイク事故で亡くなってしまったんですね。

年齢が近いこともあり仲が良く、事故の前月も一緒にお酒を飲みに行ったばかりでした。
バイクで日本一周するという話を聞いて、「事故には気を付けろよー?」と冗談めかして注意していたのですが……。事故の知らせを聞いてから数日は、ショックで頭がうまく働きませんでした。

そうした出来事を受け、人生いつ終わるか本当にわからないなということを強く感じて、
しばらく後回しにしていた遺言書も今この時期に作成するべきなのではないか、と思い立ちました。

ーー遺言書にはどのようなことを記載しましたか?

内容としてはシンプルで、自分の財産をすべて洗い出し、それを誰に渡すかということを書きました。
基本的にはすべての資産を妻に渡そうとは思っているのですが、自分が経営している未上場会社の株式だけは、経営権の話もあるので共同創業者に渡せるような記載にしました。

ーー公正証書遺言や自筆証書遺言など、遺言書にはいくつかの形式があります。どのような形式で作成・保管をされましたか?

私は「自筆証書遺言」で作成しました。

自分自身フルタイムで働いていることもあり、公証人役場に何度も訪れたり沢山の提出資料を集めたりと、準備に手間がかかる「公正証書遺言」で作成するのはなかなか難易度が高いように感じられたんです。そこで、自分で作成できる自筆証書遺言を作成することにしました。

また、結婚したばかりで今後は子どもができるかもしれないことを考えると、そのタイミングで遺言書を作り直す可能性もあります。
公正証書遺言の場合、自分の資産や遺言内容だと作成に数万円かかるとのことで、近い将来作り直す可能性があるものに高いお金をかけるのは、何となく微妙な気がして。そうした点も、自筆証書遺言を選んだポイントです。

作成した遺言書は自分の部屋やデスクなどで保管することも考えたのですが、せっかく作ったのに発見されなかったら嫌だなと思い、法務局で保管してもらうことにしました。
法務局を実際に訪問する必要があるのでそこは少し面倒でしたが、法務局での手続きは1時間程度で終わるため、そこまで大変ではなかったです。

ーー実際に遺言書を作ってみて、どのような感想でしょうか?

思ったより簡単に作れるものだな、というのが第一印象です。

遺言書というと仰々しい印象がありましたが、パソコンで下書きを作って、それを手書きで写して、署名とハンコを押して終わりでした。
どのようなことを書くべきかだったり、有効な遺言書の要件を満たす形式について、自分で調べたり専門家に相談したりということは時間とエネルギーが必要でしたが、作成の作業自体は1時間程度で終わりました。

あと、気持ち的にスッキリして、それは少し意外でした。

自分が亡くなった後の世界を想像しながら遺言書を作成するので、暗い気持ちになるのかなと思っていましたが、どちらかというと「最低限の責務は果たせたのかな」と肩の荷が下りたような気持ちでした。遺言書を作成するにあたり自分の資産の一覧をまとめたところ、ある程度の資産は妻に残せることが可視化できて、「自分に万が一のことがあったら家族はどうなってしまうんだろう」という漠然とした不安からも開放された気がします。
また、資産の一覧を纏める段階では使っていない銀行口座の存在を思い出し、預金を引き出して口座解約したり、意外と現金残高があったので有価証券に振り替えたりと、資産の整理にも繋がりました。

今回で遺言書の作り方もわかったし、自分の状況を整理する良い機会だと感じたので、これからも数年に1回とか、定期的に遺言書を作り直す機会を持ちたいです。

個人的には、これからの人生のなかで仕事や収入が変わったり、子どもが生まれたり、家を買ったりと、自分をとりまく状況もどんどんと変わっていきそうな予感もします。それでもこのタイミングで一旦、遺言書の作成ができて良かったです。

記事

柴田駿

柴田駿

アンドフォーアス株式会社

アンドフォーアス株式会社代表。1992年生まれ、東京都出身。 慶応義塾大学卒業後、東急(株)に入社。不動産の売買業務等に従事した後、ベンチャー企業に転職。投資型クラウドファンディングの新規案件組成等を担当。 2021年にアンドフォーアス株式会社を設立。趣味はテニスと街歩き。 相続診断士/宅地建物取引士/FP

Share

関連記事