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祭り囃子が流れる大往生を。「長く」ではなく「自分らしく」生きることを目指す

子育てがひと段落し、2年前には初孫が生まれたというヒロリンさん(62歳)に、人生観・死生観についてお話をお伺いしました。

ーー人生の最期はハワイで過ごしたいとお伺いしました。ハワイにはよく行かれるんですか?

初めてハワイに行ったのは、18歳のときです。
高校生の頃にどうしてもハワイに行ってみたくなって、ハンバーガーショップでアルバイトをしながら3年がかりでお金を溜めて行きました。
それ以降も定期的に、合計で10回くらい行きましたね。

ハワイの魅力は、自然と都会が同居しているところです。
海もあるし買い物もできるし、少し移動すればパイナップル畑のように牧歌的な風景もあるし……。
たとえるなら湘南の海岸沿いに銀座がある、そんなイメージの場所に魅力を感じています。

子どもが生まれて毎日が忙しくなり、旅行もしばらくできていなかったのですが、実はこの前30年ぶりにハワイに行くことができました!

子育てが落ちついたこともありますが、やりたいことは先延ばしせずにやりたいなという思いがあり、このタイミングでハワイに行くことを決めたんです。ハワイ旅行の直後にコロナ禍の騒動があったので、結果的に完璧なタイミングでしたね。

「やりたいことを先延ばしにしない」という考えに至ったのには、何か特別な経験があったのでしょうか?

実は、父の死を通じてそのような思いを持つようになったんです。

父の体調がすぐれない期間が続いたので病院に行ったところ、診察後に医師から家族だけが呼び出されて癌の宣告を受けました。しかもそのときすでにステージ4で、余命数か月とのことでした。

医師からは「癌であることを本人に話すと、気が弱ってしまって良くないのではないか。」とアドバイスを受け、父には最期のときまで癌であることを隠すことにしたんです。すごく辛い決断でした。

父に事実を隠していたこと、嘘をついていたことは自分のなかで罪悪感となっていて、今でも父の夢を見るほど。父の快気祝いをしていて、家族や父の友人みんなで楽しく話しているのに、父だけが中座してしまう悲しい夢です。泣きながら起きてしまうこともあります。

父が亡くなった後に、父の日記を開いてみました。
終末期にはほとんど文字も書けないくらい衰弱して余白ばかりになった最後のページに、在原業平の辞世の句が書き留められていました。

つひにゆく  道とはかねて聞きしかど  昨日今日とは思はざりしを

父は優しく家族思いだったので、自分が不自然に痩せて体調も悪化するなかでも「病気じゃないのか」と家族を問い詰めるようなことは、決してしませんでした。本当に優しい人でした。

本人はきっと残念だったと思うし、やり残したこともいっぱいあったと思います。
当時、私のお腹のなかにいた娘に名前をつけてくれたのも父なんです。きっと、娘(父からすると孫)の顔もすごく見たかったのだと思うと、見せてあげられなかったことが残念でならないです。

人はいつ亡くなるかわかりません。
やりたいことがあったら、すぐにやらなければいけない。
それが父の最後の教えだと思っています。

ーーお父様の他に、身近な方との死別経験はありますか?

“浅草のおじさん”と呼んでいた知り合いのおじさんの死も、自分にとって大きな経験となりました。

おじさんは地元のお祭りの総代も務めた、人情味あふれる人望の厚い方でした。
90歳を超えて入退院を繰り返しており、終末期も入院をすれば100歳まで長生きできると言われていたのですが、結局ご自宅で、自分の好きな場所で最期を迎えることを選びました。

亡くなる当日におじさんの娘さんが、おじさんの知り合いを集めてのお別れの機会を作りました。
私もお伺いしたのですが、ご友人の方、元職場の方、街の方、多くの人が浅草のおじさんの顔を見に集まっていて、そこではずっとお祭り囃子が流れていました。
みんなに囲まれてご本人も嬉しそうにニコニコしているのを見て、「長く」生きるではなく「自分らしく」生きることを選択したおじさんとご家族のことがすごく素敵に感じられました。

ーーちなみに、人が死んだらどうなると思いますか?

大好きな人達が自分のことを待っていてくれて、みんなでフワフワと楽しく過ごせるんだと思います。
私が死んだらきっと自分の好きなハワイにいるか、もしくは和洋折衷のバイキングの食べ放題の真ん中にいますよ!

ーー最後に、ヒロリンさんがいまやりたいことを教えてください。

大きい公園の近くに引っ越して、ペットの犬との毎日の散歩を楽しみたいです。
子どもや孫が遊びに来て、そのまま泊っていけるようなスペースもある家にしたいですね。

自分にとって、人生の宝物は夫、子ども、孫、犬です。宝物たちと一緒に「自分らしく」生きていきたいです。

ーー本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。インタビューはいかがでしたか?

自分にとって大事な経験を話すことができました。
家族や大勢の人がいるときだとなかなか話しづらいこともあるけど、1対1だといろいろと話せて良かったです。
こういう話も、気軽にできる時代が来るといいなあ、と思います。

インタビュアー

柴田駿

柴田駿

アンドフォーアス株式会社

アンドフォーアス株式会社代表。1992年生まれ、東京都出身。 慶応義塾大学卒業後、東急(株)に入社。不動産の売買業務等に従事した後、ベンチャー企業に転職。投資型クラウドファンディングの新規案件組成等を担当。 2021年にアンドフォーアス株式会社を設立。趣味はテニスと街歩き。 相続診断士/宅地建物取引士/FP

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