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【イベントレポート】テーマは「死について話そう」。&for usのリアルイベント、死のワークショップの続編を開催しました!
「&for us」のリアルイベント、「死のワークショップ by &for usー死について話そう」の後編を開催しました。
東京・高円寺にある老舗銭湯「小杉湯」のお隣、シェアスペース「小杉湯となり」を舞台に、2023年1月29日(日)に行った「死について話そう」の後編としての開催となりました。
前編では参加者全員で話し合いながら「葬儀」や「相続」について“知り”、簡単なワークや課題を通じてよりよい人生について考え、家族と“話す”ためのテクニックを身につけるけることを目指しました。後編では「遺言書」や「相続税」について、専門家を交え講義形式で理解を深めます。
スピーカーは、アンドフォーアス株式会社代表・柴田 駿と、小誌の記事監修なども行う公認会計士・税理士の鈴木英示が担当しました。
ワークショップの前段では、前回の振り返りとして実際に家族とどのようなコミュニケーションを取ったのかについて、参加者同士で報告会。パートナーや両親など大切な方と、これからの人生や相続について会話をしてみてくださいという“宿題”について発表しました。
「話題を小出しにして家族を驚かさないようにした」「疎遠な親戚もいるなかで、どうしていいかという課題も感じた」「事前に質問とか紙に書いといて渡すとかの方がいいかも」など、参加された多くの方が「葬儀」や「相続」といった話題について家族と話し合うことのハードルの高さを実感しつつ、日頃から話し合うことの大切さにも気づかれたようです。
第二部の「“遺言”ってなんだ?」では、ふだんあまり目にする機会のない遺言書そのものについての説明にはじまり、終活に興味を持つ人は多くても遺言書まで作成する方は非常に少ないといった、遺言書を取り巻く実情についても紹介。
さらに実践的な内容として、もうひとつの宿題であった遺言書作成の下準備(「自身の財産の内容」「誰にどう渡したいか」について考える)をもとに、全員で遺言書の作成にも挑戦してもらいました。
あまり目にすることのない遺言書の雛形にあわせて文章を記すことも大変ですが、何よりも「何の資産を所有しているか」「誰にどのように相続させたいか」という、書き記すべき内容の整理をするのが難しいといった声も多く挙がっていたのが印象的でした。自身の財産を把握することが難しいように、家族の財産となればなおさらのことです。
第三部の「“相続税”ってなんだ?」では公認会計士・税理士の鈴木英示がマイクを握り、相続税のあらましや相続税が課される財産の例、主な相続財産の評価方法などについて紹介。
前述の遺言書の作成しかり、鈴木氏は「まずはできることから着々と進めることが大切ですし、何よりも家族がともに取り組んでこそ、はじめて全員が納得できる内容です。そのためにも、日々の会話などを通じて少しずつできることから準備をしていってほしい」と、コメント。
日頃の家族同士のコニュニケーションの重要性について訴えかけました。
前編・後編と2回に分けての実施となった「死について 話そう」。より具体的で実践的な内容となった今回のイベント終了後、参加者の方からアンケートを通じてさまざまな気づきがあったとコメントをいただくことができました。
「知っているようで知らないことに気づくことができました。実際に(遺言書を)書いてみようとペンを握ると、まず情報を自分で整理する必要性を感じました。話をする新たなきっかけを掴めてよかったです」
「両親の死後のことは考えていたが、自身が死んだときのことを考えていなかったということを自覚できた。税金の話はやはり難しい…」
「実際に遺言書を書く準備をすることで、具体的に自分の相続について考えるきっかけになった」
※すべて原文ママ。一部抜粋
また、当日を振り返って、主催の柴田と公認会計士・税理士の鈴木は次のようにコメントしました。
「宿題だった『パートナーや両親など大切な方と、これからの人生や相続について、会話をしてみてください』ですが、前回のワークショップからあまり時間が経っていないこともあり、そもそもご両親やパートナーと会えていない方も多く見受けられました。特に20代、30代は多忙な方も多く、家族が遠方に住んでいる場合も多いため、自分たちが思っている以上に家族の時間、大切なひととの時間が取りにくいことが浮き彫りになりました。遺言書についても、いざ書いてみようとしたら意外と書けなかったり、自分のなかで整理できていなかったり。そうした事柄にまず“気づく”ことが大切だと思っています。その気づきをひとりでも多くの方にもたらせるように、これからもイベントなどを通じてできることを続けていきたいと思います(柴田)」
「極力シンプルに説明しようと端折ったつもりではあるのですが、ちょっと詰め込みすぎてしまったかもしれません。いちばん伝えたかったのは、家族間で“?”が出たタイミングで公認会計士や税理士といった専門家に相談をしていただきたいということ。そしてもうひとつ大切なのは、ひとりで相談をしないこと。ご家族ありきの相談内容のため、できる限りご家族とともに相談にお越しいただける方がスムーズですし、みなさん安心できる解決方法をご提案できると思います(鈴木)」
次回のワークショップは2023年3月18日(土)、NPO法人シブヤ大学との協働で『死のワークショップ ー「死について知ろう」』を開催します。普段はなかなか話しづらい”死”について、みんなで一緒に考える本イベントでは、死を学問的に捉えたり、簡単なワークを通じてよりよく生きるための考え方やテクニックを身につけることを目指します。ぜひご参加ください。
記事
中澤範龍
出版・広告の現場を経て、さまざまなメディアのプロジェクトに編集者として参画。後世に残したい日本の工芸技術やロストテクノロジーを再発見・記録するプロジェクト「Missinglink 」メンバー。株式会社EditReal取締役。