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不動産を相続した場合、自己利用をせず、かつ賃貸等で居住する人も他に居ない場合、その不動産は空き家となります。
空き家の状態であったとしても、所有者としては近隣住民の苦情に都度対応して必要な手入れ、補修などの管理をしなければなりません。また、所有しているだけでも固定資産税が発生するため、手間や金銭面を考えると手放す方がメリットがあるケースも多いです。
相続する不動産を手放す方法は、大きく分けて3つあります。
1.売却する
不動産会社に依頼することが一般的で、場合によっては複数の不動産会社に依頼することも有効です。
不動産価値が一定程度ある場合には売却することが出来る可能性が高いですが、地方にある家の場合、簡単に売却できないケースも多々あります。
2.寄付する
不動産は売却だけでなく、寄付することも可能です。
主な候補は個人や法人への寄付、自治体への寄付などです。
個人や法人のなかでは、特に対象の不動産に隣接している土地(「隣地」と言います)を所有している方が、寄付を受け入れてくれる可能性が最も高いと思われます。隣地所有者であれば寄付された土地の活用がしやすいからです。
また、自治体への寄付を検討する場合、寄付に応じてもらうための条件は各自治体によって異なるため、窓口で相談してみることがまずは第一歩となります。
3.相続放棄する
「相続放棄」とは、被相続人(亡くなった方)の財産を放棄することを言います。
なお、特定の財産だけを放棄することはできない点に注意しましょう。
たとえば、相続財産が地方にある家と預金500万円だった場合に、
預金500万円だけを相続して家だけを相続放棄する、といったことは認められていないのです。相続放棄をした場合は家だけでなく、預金に関しても一切相続ができなくなってしまいます。
また相続放棄をするためには、上記の他にも、相続開始(被相続人が亡くなった日)から起算して3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があるなど、各種条件を満たす必要があります。
時間的制約もあるため、相続放棄を検討する際はぜひ一度専門家にご相談いただければと思います。
『&for us』事務局及び提携士業事務所では、
不動産の活用や相続放棄を含む、終活や相続関連のご相談を受け付けております。
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<用語紹介>
「隣地」:対象の不動産に隣接している土地を指します。
参考記事:実家の相続問題は意外と多い!?実家を相続する場合、まず何からすべき?
この回答の監修
特定行政書士:床鍋 義博
行政書士床鍋事務所
1964年生まれ、北海道出身。 明治大学法学部卒業後、ITベンチャー企業等を経て、2011年明治大学 大学院グローバルビジネス研究科卒業。行政書士として相続案件などの法律相談を多数手がける。 特定行政書士、宅地建物取引士ほか