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結婚式とお葬式に並ぶ、新たなライフイベントって?子持ちママが語る夢。

「結婚式、お葬式と並ぶ、新たなライフイベントを創造したいんです」。そう語る一児の母、古堅さん(27歳)。その裏には、どのような想いがあるのでしょうか? 自身の人生観や死生観についても、お話をお伺いしました。

古堅さんは前職で葬儀会社に勤めていたと伺いました。若いうちからそういった業界に進む方はあまり多くないように感じますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

父との死別が、自分のなかで活動のエネルギー源となっています。父の死がなければ、おそらくずっと地元でヤンキーみたいな生活をしていたんじゃないでしょうか(笑)。

父は自分が10歳のときにガンで亡くなりました。発覚してから余命3ヶ月。別れを噛みしめるには短すぎる時間でした。
小学生だった私は当時バレーボールに打ち込んでおり、父は病気が発覚してからたくさんの病院を転々としていたこともあって、一緒に過ごした記憶というのは正直あまりありません。

父の死そのものというよりも、私が大きく影響を受けたのは母の様子でした。「死」というものが、いかに人を悲しませるものなのかというのを実感しましたね。お葬式がこんなにもたくさんの人が悲しんで、涙して、父について語る場なんだということに驚きました。

自分は幼かったので、死と向き合うにはある意味で良い時期だったのかもしれません。多くの方が「お父さんの分まで頑張るんだよ」という言葉をかけてくれましたが、それを重く感じることもなく、結果として良い方向に活かしていくことができたと思います。

その後、お母様はどうされたのでしょうか?

私が社会人になるまではきちんと子育てを頑張ってくれていましたし、今では新しいパートナーを見つけようと頑張っているようです。母が老後をともにする相手を見つけたいと思ってくれるようになってからは、少し前向きになった気がします。

父が亡くなった当時は毎日仏壇に手を合わせながら泣いていましたが、今ではあまりグリーフ(悲嘆)を抱えていないんじゃないかな?

よく時間が解決してくれるといいますが、その通りだなと思います。人間は忘れることができる生き物なので、習性として、悪い思い出を忘れ、良い思い出を残そうとするもの。もちろん、人によって個人差はあるとは思いますが。

そういったご経験を経て、葬儀の仕事をされるようになったんですね。

そうですね。あとは、マザーテレサとの出会いも大きく影響していると思います。

詳しくお話聞かせていただけますか?

それも小学校の頃の話なんですが、図書室にあった伝記を漫画で紹介する本がきっかけです。好きで読んでいたのですが、数ある人物のなかでいちばん心惹かれるのがマザーテレサだったんですね。

最も心に残っているのは、マザーテレサが来日した際に大企業の社長が「○億円寄付します」と言ったのに対し、小さな男の子が1,000円も入っていないような貯金箱を渡すシーンです。マザーテレサは大企業の寄付を断って、その子どもの寄付=愛を受け取るといった内容でした。

企業の寄付からは“社会的評価をあげよう”という裏が見えるのに対し、男の子のような純粋な気持ちを大切にしたいというマザーテレサの行動を見て、「人を助ける」「困った人を救う」というのは、「お金」ではなく「想い」が大切なんだと感じたんです。
そのときの感動がずっと自身のなかにあり、いつかは第二のマザーテレサのようになれたらなって。その思いは大人になっても変わらず、自分の「想い」で人の命を輝かせることができる仕事に就けたらという思いから葬儀の仕事を選びました。

葬儀のプロとして働く古堅さんですが、ご自身の死生観についても教えてください。

『ボス・ベイビー』という映画を知ってますか? 私、人が死んだらあの映画のような世界から新しい世界に生まれ変わると思うんですよね。

死ぬときの痛みとかどういう風に死ぬのかっていうのは少し怖いですが、死ぬこと自体は怖くないです。むしろ楽しみなくらいです(笑)。

生まれ変わるとすれば、また人間がいいですか?

なんとなくですが、人間は生まれ変わっても人間になる気がしています。人間が特別すごい訳ではないけれど、来世で自分が生まれ変わるなら人間が良いから、人間に生まれ変わるってことにしときましょ(笑)。

どれだけ悲しい死別でも、また誰かのもとに戻っていく。誰かに覚えてもらっていたり、大切にしてもらったりしながら死ぬのであれば、次の人生でも幸せに暮らしていける。そう考えると、とても平和的だなぁって感じます。

つい最近ご出産されたとのことですが、そうした経験も影響しているのでしょうか?

いやーどうなんでしょう。

こんなこと言うとダメ親なのかもしれませんが、彼は自分の息子だ!っていう感覚があまりないんです。私が育てているんだ!という認識も。

小さなひとりの人間と向き合っている感覚が強いです。

よく自分がお腹を痛めた子だから、みたいな話を聞くので、さぞ生まれたときの感動があるんだろうなって思っていましたけど、感動よりも先に人が人から産まれるという当たり前の事実を実際に目の当たりにして面白さを感じました(笑)。

だから実際は守らなきゃいけない存在というよりも、ひとりの人間として向き合っていきたいですね。

そういう意味では子どもがどういう影響を受けて、どういう人生を歩んでいくのかをしっかり見届けたいと思いますね。

そして親が子どもから受ける影響も楽しみながら。

古堅さん自身、これから死ぬまでにやりたいことがあるとも伺いましたが。

私は、「結婚式、お葬式と並ぶ新たなライフイベントを創造したい」と思っています。

結婚式はカップルのお祝いで集まってくれる儀式。そこでは親族も友人もお祝いのベクトルが結婚をする人に向きますよね。結婚式と同様に人が集まるイベントというのは、現状ではお葬式しかありません。
昔は同窓会や親族間での集まりなどをしている地域もありました(もちろん、現在でもしている地域や家族はあると思います)が、近年コロナ禍の影響や、全体的な規模縮小傾向によって、人が集まるというイベントが減っています。
幼稚園や保育園からはじまるコミュニティのなかで、いろいろな人と出会っているはずなのに、結婚した後はお葬式まで関わりが無くなってしまうのはあまりにも寂しいことだと考えていて。

結婚すること自体も当たり前ではなくなった昨今、きちんとその人が生きている証を示し、また生きていられることにその人が感謝を示せる場というのが必要だと思ったんです。

人がずっと生きているのは当たり前ではない。そのことを身をもって教えてくれたのは父でした。
昔からずっと考えていたことですが、葬儀の仕事をするようになってからますます強く感じるようになりました。

ちなみに、名称なども考えているんでしょうか?

まだ未定ですが、「家族式」みたいなイメージです。もうちょっといい名前があればそっちを採用します(笑)。

この家族式(仮)にはいろいろな形があっていいと思います。私の場合は父が既に他界しているので、母へ感謝の思いを伝えつつ、一緒に自分の家族のルーツを辿る旅をしてみたい。もう既に自分たちでそういうことをやっている人もいると聞きましたし、私の友人は「入れ歯洗い式」という名称で、祖父母への感謝を伝える場を作っていたりします。そんな風に自分たちでできていれば、不要なサービスなのかもしれません。でも、自分たちでは作り出せないけれど、私がお手伝いすることで死ぬ前に思いを伝えられるような人たちが増えたら良いなって。本気で思っています。

本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。インタビューはいかがでしたか?

話しをしていくうちに、自分の考えもいろいろと整理されました。
家族の死のこととか、自分の命のこととかを考える機会はありがたいですね。
本当はこういったことが、当たり前に話せる世の中になればおもしろいのになって思いました。ありがとうございましたー!

インタビュアー

市川岳

市川岳

アンドフォーアス株式会社

国際基督教大学教養学部アーツサイエンス学科哲学専攻卒業後、葬儀社(むすびす(株)旧:アーバンフューネスコーポレーション)へ入社。エンディングプランナーとして、年間約200家族との打合せ・葬儀を執り行うとともに、死生学カフェや死の体験旅行など様々なイベント企画を通じて「死へのタブー視」と向き合っている。 現在は上智大学大学院実践宗教学研究科死生学専攻の博士課程前期1年目で、死とテクノロジーが合わさった「デステック」における倫理的問題のアセスメントを中心に研究を進めている。

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